面白い英語の複数事情
Media(メディア)やdata(データ)が英語では複数形扱いなのをご存知ですか?日本語にもなじんでいる言葉で、通常の場合、英語の複数形には決まってSやESが文字の最後に来るので単数形だと思う人も少なくないと思います。しかし、これらの言葉、実は複数形の名詞でほかに単数形があるのです。単数形の形はmediumとdatum…. まったくしっくりきませんね。変な複数形で代表的なのは、とchildとchildrenや、woman とwomenなども、-sをつけずに複数形の名詞となります。最後に、いくつかの名詞は単数と複数でまったく同じ形であらわされることもあります。このように英語ではいろいろなことが起こっているので、順を追って説明していきます。
1.Mediumが単数でmediaが複数なのは、、
理由としては、これらの名詞がラテン語から来ているからです。ラテン語では、複数形をただ単に-sをつけて表すのではなく、名詞のタイプによって語尾を変えるというもので、それがそのまま残って-sがついていない複数形の名詞ができたということです。
Medium, media (メディア)
Medium (ラテン語: 真ん中) | 単数 | 複数 |
主格 | medium | media |
属格 | mediī | mediōrum |
与格 | mediō | mediīs |
対格 | medium | media |
奪格 | mediō | mediīs |
呼格 | medium | media |
Alumna, alumnae (女性の卒業生)
Alumna (ラテン語: 女性の生徒) | 単数 | 複数 |
主格 | alumna | alumnae |
属格 | alumnae | alumnārum |
与格 | alumnae | alumnīs |
対格 | alumnam | alumnā |
奪格 | alumnā | alumnīs |
呼格 | alumna | alumnae |
このように、英語はラテン語の主格を意味は違えどそのまま主格の名詞を使っています。
2.Woman、 man、やchildが-sを使わないのは、
manやchildも基本的には上と同じようにして不規則な複数形ができましたが、これらの言葉は、「古英語」から発展しました。古英語もラテン語と同じように格によって名詞の語尾がかわり、ラテン語の6つに対して、古英語は5つの格がありました。古英語にある具格に関しては、男性名詞と中性名詞の単数形にしかつかわれず、与格が代わりに役割を果たしていました。
Man, men/ Wife+man = woman
Mann (古英語: 人、男) | 単数 | 複数 |
主格 | mann | menn |
対格 | mann | menn |
属格 | mannes | manna |
与格 | menn | mannum |
Child, children (子供)
Cild (古英語: 子供) | 単数 | 複数 |
主格 | ċild | ċild, ċildru, ċildra |
対格 | ċild | ċild, ċildru, ċildra |
属格 | ċildes | ċilda, ċildra |
与格 | ċilde | ċildum, ċildrum |
Foot, feet (足)
Fōt (古英語: 足) | 単数 | 複数 |
主格 | fōt | fēt |
対格 | fōt | fēt |
属格 | fōtes | fēta |
与格 | fēt | fētum |
3.単数と複数で形が変わらない名詞がある理由は、、
Sheepやdeerなどの動物や、craftで終わる名詞などは、複数形でも形を変えずに使われます。この理由としてまた取り上げるのが古英語です。古英語では、中性名詞の短い母音と2つの子音か一つの子音と長い母音は複数形でも形が変わらなくなったためだといわれています。簡単にいえば、いくつかの名詞は、主格で複数でも単数でも形が変わらなかった時の名残、ということになります。しかし、面白いことにこのような名詞すべてが複数形の形を同じままにしたわけではなく、逆に、いくつかの文法的にかかわりのない名詞にこのシステムを当てはめている場合もあります。
Sheep, sheep (羊)
Scēap (古英語: 羊) | 単数 | 複数 |
主格 | scēap | scēap |
対格 | scēap | scēap |
属格 | scēapes | scēapa |
与格 | scēape | scēapum |
Sheepの場合は、古英語と同じように単数形と複数形が同じのままとなっています。
Thing, things (もの、こと)
Þing (古英語: こと、もの) | 単数 | 複数 |
主格 | þing | þing |
対格 | þing | þing |
属格 | þinges | þinga |
与格 | þinge | þingum |
Thingの場合は、古英語では同じ形なのにもかかわらず、現英語では-sで複数を表しています。
Fish, fish (魚)
fisċ (古英語: 魚) | 単数 | 複数 |
主格 | fisċ | fisċas |
対格 | fisċ | fisċas |
属格 | fisċes | fisċa |
与格 | fisċe | fisċum |
Fishの場合は、違う形をした複数形があったにもかかわらず、sheepのように複数形のマーカーがありません。
全体的に、今の英語の変なところを話すつもりでしたがほとんど古英語やラテン語など、古い言葉がかなりかかわってきていることが‘わかりました。かなり名詞の格の話になってしまったので、知らないことがあればコメントをお願いします。
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