相対的方向(右、左、前、後ろ)がない言語とは?

オーストラリアのアボリジニーの言葉、グーグ・イミディル語(Guugu Yimithirr)、カヤーデル語(Kayardild)、クーク・タヨーレ語(Kuuk Thaayorre)などは相対的方向を使わずに、絶対的方向を使って方向を表します。このような言語には相対的方向に値する言葉がなく、常に絶対的方向が使われます。絶対的方向だけを使うとはどういうことかというと、彼らは「誰々が何々の右側に座っている」ということはなく、「誰々が何々の東側に座っている」という言い方をします。このように、小さい規模にもかかわらずいつでも絶対的方向を使います。

「どっちが北でどっちが南かなんてわからない」という方もいると思いますが、このような人々にとって常に方角を把握することは言語を話すうえで必要条件のようなものなので、このような人たちは普通問題なく方角がいつでも分かります。

もちろん、絶対的方向を使うことによって相対的方向のように人の位置が変わることで二つのものの関係の表し方が変わることはありません。さらに、これはこのような人々が自分を中心に物の位置を考えるのではなく、自然や地球を中心にして方向を考えているということが分かります。

相対的方向を使った場合はAからみれば「△は〇の」になり、Bから見れば「△は〇の」となります。しかし、絶対的方向を用いた場合はAから見てもBから見ても「△は〇の西」となり、人の場所の位置によって△と〇の関係は左右されません。